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「社会実装を見据えて先端技術と向き合いたい」 MoTのインターンに参加して得られたこと

Mobility Technologies(以下、MoT)では、ドライブレコーダーから取得できる情報を元に道路上の物体を検出して地図と比較することで、現地と地図の差分(地図が古くなっている箇所)を見つけて地図を更新する「道路情報の自動差分抽出プロジェクト」が進行中です。

今回、本プロジェクトにおけるコアとなるコンピュータビジョン技術の研究開発を行うAI技術開発部 AI研究開発第二グループにインターン生の江藤謙さんが参加。2022年10月〜11月の2ヶ月間にわたって、チームの一員として技術開発に取り組みました。

そもそも江藤さんはなぜMoTのインターンを選んだのか。そして2ヶ月のインターンでどのような学びを得られたのか。彼のメンターであるAI技術開発部 AI研究開発第二グループ 鈴木達哉、その上司にあたるAI研究開発第二グループGM 宮澤一之を交えて話を聞いてみました。


深層学習における技術力の高さには目を見張るものがあった

インターン生としてAI研究開発第二グループで技術開発に取り組んだ江藤さん

ーまず、大学院での研究内容から教えてください。

江藤:現在は大学院の情報システム工学専攻にて知覚情報処理研究室に所属しています。研究テーマは、深層学習を使った画像分類における基礎研究です。

ーなぜMoTのインターンに参加しようと?

江藤:視野を広げたいと感じたからです。研究対象として深層学習に触れている中で、大学院で研究をしているだけだとどうしても自分の視野が狭くなっていく感覚があったので……。研究テーマと似たような技術を取り扱っている企業へインターンへ行くべきだと考えていました。

インターン先は、機械学習系の学会にスポンサーとしてブースを出展している企業を中心に探しました。その中でMoTを選んだ理由としては、深層学習を活用しサービスとして成立させることができていたからです。

個人的には大手地図会社・ゼンリンと共同開発の「道路情報の自動差分抽出プロジェクト」の印象が強かったですね。他社と共同でプロジェクトを進められるほど、技術の価値が世の中から認められているということですから。

ー受け入れる側としてはいかがでしたか?

宮澤:言葉を選ばずにいうと、「キミ、わかってるね。それを言ってほしかったよ」みたいなところはありました(笑)。我々としても機械学習やコンピュータビジョンに関する技術力をアピールするために学会のスポンサーとしてブースを出展しているわけですし。魅力を感じてもらえたことは、本当に嬉しかったですね。

AI研究開発第二グループ・グループマネージャーの宮澤

ー選考での江藤さんの印象も教えてください。

宮澤:選考書類でベースとなる知識を持っていることは想像できたのですが、特に決め手となったのは面接での受け答えですね。質問に対して非常にロジカルに回答してくれて、私たち(面接官)の前提知識が足りないであろう部分を補足しながら説明してくれるなど、“地頭の良さ”を感じました。

江藤:合格の連絡を受けたときはすごく嬉しかったです。第一志望でしたが、正直受かると思っていなかったので(笑)。

プレッシャーはあったけど、のびのびできた

ーインターンでの活動内容についても教えてください。

メンターを務めたAI技術開発部 AI研究開発第二グループの鈴木

鈴木:先ほど江藤さんが口にされていた「道路情報の自動差分抽出プロジェクト」における標識検出の速度改善をお願いしました。

このプロジェクトでは膨大な量のドライブレコーダー映像を処理する必要があるのですが、最も計算量が大きい処理の一つが映像からの標識検出です。これまでMoTでは標識検出の「精度を上げる」部分に注力しており、運用コストに直結する計算量を下げる、つまり「速度を上げる」部分にまで手が回っていませんでした。そこに今回優秀なインターン生が来てくれることになったので、標識検出の速度改善をお任せしました。

ー率直にどんな印象を抱きましたか?

江藤:募集要項には「『道路情報の自動差分抽出プロジェクト』のどこかをお願いする」という記載があったので、特に驚きはありませんでしたが、タスクを見て「速度を上げる」というミッションは実応用を意識した課題だと感じました。非常にイメージ通りだったというか。

ー実際に業務にあたってみていかがでしたか?

江藤:少なからずプレッシャーもありましたが、基本的にはのびのびやれたと思います。メンターの鈴木さんは毎日ミーティングしてくれて、自分の進捗状況の共有とフィードバックの時間を設けてくれたので、とてもやりやすかった。それ以外のチームメンバーの方とも意見交換の場をつくってくれたので、コミュニケーション面でのストレスは全くありませんでした。
設備面も性能の高いマシンを自由に使える環境だったので非常にやりやすかったです。

ー鈴木さんは江藤さんとのコミュニケーションにおいて意識していたことはありますか?

鈴木:最初に会ったときから優秀な印象を受けていたので「学生だから」「インターン生だから」という接し方はしないように意識しました。社員と同じように接していくことが、スタートアップのインターンに参加するおもしろさでもあると思ったので。

一方で、せっかくのインターンなのでただ仕事するだけではなく学びも得てほしかったので、まずは自分でいろいろ考えて動いてもらい、そのうえで長期的なキャリア形成に役立つようなフィードバックは惜しみなくしてきたつもりです。

江藤:それでいうと「マシンを回すコストよりも、君の時間の方が大事だから」と話してくれたのは心に残っています。

鈴木:最初は実験のためにクラウドのコストがかかってしまうことに遠慮している部分があったんですよね。でも、アイデア自体は素晴らしいし、やってみないとわからないじゃないですか。だから「遠慮しないで会社のリソースはどんどん使おう。江藤さんの時間の価値は高いんだから」とお話ししたことはありました。

「とにかく結果を」インターン生のこだわりが与えた影響

ー鈴木さんは江藤さんの仕事ぶりで刺激を受けた部分はありましたか?

鈴木:やはり、結果に対する気持ちの強さは感じました。短期間だったからこそ、「なんとしても結果を出してやる」という気持ちが伝わってきて。

自分たちのように、ある程度時間をかけて仕事していると気持ちがゆるんでしまうこともなくはないので、とても刺激的でした。毎日のミーティングでのフィードバックも常に自分に跳ね返ってきて「よし、自分もちゃんとやるぞ!」と。

ー宮澤さんはいかがでしたか?

宮澤:インターン生を受け入れることの副次的な効果として、既存社員への影響として今の鈴木さんのコメントのようなところを狙っていた部分もあったので、非常に嬉しく思います。

ー江藤さんは結果に対して意識していたことはありますか?

江藤:意味のある実験をすることですね。いくらたくさん実験をやっても、それぞれから得られるものがなければ意味がないし、時間の無駄になってしまうので。振り返ったときに検証・改善ができるようにそれぞれに意味を持たせることは意識した点かもしれません。

ー業務の中で面白く感じたことは?

江藤:大きく分けて2つあります。1つは業務とはあまり関係ないかもしれませんが、実際にドライブレコーダーの映像を見られるのはおもしろかったです。大学院で研究をしているだけでは触れることが少ない、実社会から得られた生のデータを目の当たりにできるのは興味深かったですね。

もう1つは、ドライブレコーダーという前提をよく理解したうえで課題を簡略化していく考え方も面白かったです。たとえば「道路標識は青と赤が多いので、背景との色の違いが検出に役立つのではないか」というようにドメイン知識を駆使しながら課題の解決を目指していく過程はとても楽しかったですね。

社会を見据えて技術開発に打ち込みたい若者たちへ

ーインターン参加前後で考え方に変化はありましたか?

江藤:タスク解決に向けての考え方や思考のプロセスが身についたと感じます。基礎研究とは全く違う視点なので、非常に有意義なインターンでした。

ー鈴木さん、宮澤さんは江藤さんの成長についてどう感じていますか?

鈴木:もともと自分の力で仕事を進めていく力が備わっていたので、安心感はありました。ただ、本人からも「もっと考えて開発を進めていけるようになりたい」という話もあったので、こちらとしては深く考えるためのサポートを意識しました。

終盤には「こうやったほうがうまくいくんじゃないか」とアイデアを出してくれるようになったので、インターンという場を自分の成長に活用してもらえた印象を受けています。「さすがだな」と。

宮澤:その通りですね。最初の頃は、私たちの方である程度の方向性を示していたのですが、途中から自分がやるべきことを見つけてどんどん進めてくれたのは非常に成長を感じました。

映像やカメラ固有の特性をうまく活かして、私たちの抱える課題にフィットしたソリューションの実現に向けて、かなり工夫をしてくれました。大学院の研究とは異なるドメインに特化した環境だからこそのやり方を見つけてくれたのではないでしょうか。

江藤:そうおっしゃっていただけてとても嬉しいです。たくさん経験を積ませていただき、僕は感謝の気持ちでいっぱいです。

ー実際、MoTのインターンはどういう人に向いていると思いますか?

江藤:実際に動いているもの、サービスとして使われているものを取り扱ってタスクの解決に取り組むインターンは本当に希少だと思います。だからこそ、実際にプロダクトに触れて、AIの社会実装のための知識や考え方を得たい人にとってはこの上ない環境です。

さらに、MoTには宮澤さんや鈴木さん以外にも優秀な技術者の方たちが揃っているので、みなさんとの交流の時間もとても学びが多かったです。技術者としての考え方をアップデートさせたい方にも非常に刺激的な環境だと言えるのではないでしょうか。

ー宮澤さん、鈴木さんからMoTでのインターンを志望している学生にひと言お願いします。

鈴木:今回の江藤さんの姿を見ていて、「学んだことを社会に役立てたい」と考えている方にとってMoTはすごく魅力的な場所だと再確認できました。社会を見据えて技術と向き合いたい方にぜひおすすめしたいです。

宮澤:大学や大学院では、実際にサービスの中で使われている技術に触れる機会は少ないですからね。ぜひ江藤さんのように前向きに取り組んでいただきたいですし、私たちの中にも新しい風を吹かせていただきたいですね。ということで、江藤さん、お疲れさまでした!

江藤:こちらこそ、ありがとうございました!

※掲載内容は2022年12月時点の情報です。

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